[戦国武将12] 鎧のモデリングPart3 -草鞋(わらじ)を作成する-

こんにちは!、越智光進です。

前回からの続きになります。

すでに作成はしていましたが、今回は草鞋(わらじ)の作成を軽くご説明致します。

 

 

 

※最初に、
草鞋ですので少々マニアックな回になっております。ご興味がございましたら引き続きお読みください。

 


 

リファレンスを確認してこの手のパーツは一体化で作るか、パーツを一本一本作成するかという所で悩みがちですが、一体化で作成すると縄のねじりまでスカルプトしないといけなくなるのと、隙間ができない分少し手彫り感も増してしまいます。
ですのでまずは一つ一つ作成して、埋め終わった後で悩む方がまだ良いと思います。
急がば回れです。

 


 

作り方は様々あると思いますが、まずはスカルプトで簡単に脚のサイズにあったベースのモデルを作成します。

 


 

次にDecimation等で減ポリをしてMAYAへGOZをします。(靴底はすこし薄めに作成しておきます。)

ここからが一番大変になる作業なのですが、
パスカーブやzbrushのカーブチューブ等でしっかり編み込みを作るのは3d内ではとても難しいといいますか出来なくはないですが、時間がかかりますので編み込みされた感じに見えるようなモデルを作成していきます。↓

まずは編み込みの見える側のパーツをいくつか作成し、UVを綺麗にしっかり取ります。
※UVは必ず取らないと後から全てのパーツにUVをとらなくてはいけなくなるので必ず取ってください。

 

 

それぞれのパーツができたら、ベースメッシュの上に均等にまずは配置して束を作り、その束をDuplicateして、ベースメッシュの形状に合うようにLatticeで合わせていきます。↓

 

先端や、かかとの部分はパーツを切るなどして形が合うように丁寧に編み込み作成してください。

 


靴底が完成したら次は、緒、乳、返し、といった紐状のパーツは作ったべースモデルからZRemesherをかけて使用できそうでしたらそのままUVをとって使います。↓

 

ZRemesherがうまくいかない場合は、エッジをカーブに変換してチューブを作成、ポリゴン変換してもいいと思います。
※特に結わえた部分は綺麗にリメッシュしてくれないので作った方がいいかもしれません。
この辺りは兜の紐を作成した時と同じ考えです。↓

 


ここで縄のねじりモデルを一本作成、同時にローモデルで作ったチューブと同じで断面のシリンダーも作成、UVを取ってzbrushへGOZします。↓

 

ローメッシュをねじりの入ったハイモデルにプロジェクトをかけて細部を作り込み、DisplacementMapとNomalMapを書き出します。
書き出した画像をスクロールさせてそれぞれのマップの左右が合わさるようにレタッチします。↓

※DisplacementMapはmidValue0.5で書き出してください。(0ではマップのインポートができないため)

 


 

合わさったら一度ノーマルマップの画像をMAYAへ持っていき、取ってあるUVを同じ場所に割り当てます。↓

この時、一旦全て割り当てた後にいくつかパーツ単体で選択しながらUVをずらして見た目の統一感を無くしてください。

またUVのseamがずれないように取ってあるベースのUVにもスナップさせておいてください。
ここまで出来たらモデルをzbrushへ戻します。↓

 


 

zbrushに戻したら隙間を埋める作業と、整い過ぎた形状や長さをすこし手編みっぽく崩していきます。
ローメッシュの調整ですので時々ダイナミックsdivをかけると見やすいと思います。↓

 

ここまで完成したらモデルを分割して、書き出しして編集したDisplacementMapをテクスチャとして読み込みます。↓

 


 

これでモデルは完成!と言いたいところなのですが、ここでもう一度モデルをMAYAへGOZして、
重なったUVをばらす作業を行います。

※ここは必ずGOZで行ってください。
 ここでやってはいけないことがいくつかあるのですが、MAYAや、zbrushをQuitしないでください。また、モデルを切り離したり、モデル名を変更したりしないでください。
Quitしたりモデル自体の編集をすると、UVのexportがうまくいかなくなります。

あくまでGOZしたモデルのUVのみを編集するということです。

 

UVをばらす作業は、数がかなりあるのでLayoutUVで調子を整えてから配置変えをすると素早く対応できます。↓

※UV間の隙間を閉めすぎないように気をつけてください。

 

UVが整ったら、そのままzbrushへGOZをして、UVのみをoverrideします。
morphUVで確認して問題なければ、最後に地下足袋と重ね合わせて長さや、厚み、圧力の調整をします。↓

 

完成したら改めて、DisplacementMapとNomalMapを書き出します。


 

最後に反対の足にも同じ設定を施して、MAYA上で各種設定を完了させたらレンダリングをします。↓

 


 

これで草鞋のモデルは完成です。
※靴底のパーツはこの後で一体化させてもいいと思います。(その時は画像のように隙間を埋めるようにしてください。)

草鞋の制作内容は前回のブログで一緒に載せるつもりだったのですが、長くなったので今回に分けました。
正直お仕事や個人の制作でもこういった類のものは作ることはあまりないので、制作内容の中で少しでも参考になることがありましたら幸いです。

次回は肩や胸の甲冑をさらに作成してまいります。

 

今回も、読んでいただきましてありがとうございました!