[戦国武将16] 作成したモデルにMAYABonusToolsを使ってUVを展開する -UV展開で気を付けること-

こんにちは、越智光進です!

今回は完成したモデルにテクスチャーを描いていくのですが、その前に大切なUVを全て展開する必要がありますのでそのご説明だけさせていただきます。

 

UV展開は3Dモデルを作る上でとても大切なフローで、モデリングとテクスチャーワークの架け橋になっている工程です。
簡単そうに見えて難しい、ちょっとしたパズルのような感覚でしょうか。
現にUV展開は苦手、めんどくさいと言う人も多いです。

特にゲームモデル等に関してはより丁寧な、極端にいえば1ピクセルも無駄にしないような展開の仕方がとても大切だったりします。
(※もちろん詰めすぎるとまた問題にもなりますが。)

 

私なんかは、人から見せていただくモデルがあったらまずはUVがしっかり取られているか見ることが多いです。
テクスチャーワークにおいてUVの変更があるのが一番悩まれるところで、ここをしっかり組んでおかないと、作業に支障をきたす事も少なくありません。

また、最近はキャラクターを制作しているとどうしてもNormalMapやDisplacementMapを使うことがほとんどですので、モデリングしながらチェックすることを考えますとUVを取りながら作っていく方が後々を考えると良いと判断しています。
また取りながら作るメリットとしては、faceをshell同士で選択できるので楽になると言うのもあります。

現にこの武田信玄のモデルもほぼUVを取りながら作業しましたので、作り終えた段階でグリットの配置換えをするくらいでほぼ問題なく終えることができました。

と、偉そうに語ってしまいましたが、、
正直、私もUV展開に自信があるわけでもないですが、いつも気をつけていることやどんなツールを使っているかをこの機会にご説明だけさせていただきます。

あくまで一個人としてこれを使っていますという説明ですので使ってみてからの良し悪しはそれぞれですし、個人差はあるということだけはご容赦ください。


 

まずは、気をつけること!

①ちゃんと展開できるツール、編集できるツールを使う事。
②丁寧な配置を心がけること。
③shell間のPaddingをしっかり取ること。
④できる限り統一された解像度で取ること。
⑤シェーダー数を考えたUDIMを組む事。
⑥質感が違うからといってUVをバラバラに分けすぎない事。
⑦流用するモデルのUVは可能なら同じ枠に入れてあげること。
⑧ UVの表裏を必ず見ること、またMargeUVを忘れないこと。

 

ざっと上げるとこんな感じでしょうか。
たくさん気をつけることがあるように思いますが、慣れるとなるほど!と思うようになると思います。


 

まず①のツールに関してですが、展開ツールはフリーのものや有料のものまでたくさんあります。Roadkill、zebrUV、XrayUnwrap、などなど、Zbrushにも展開ツールはありますし、大手さんなどでは独自の展開ツールを開発している場合もあります。
私も一時期何を使ったら展開が楽にできるかとかいいツールはないものか探していた時期もありましたが、最近はMAYAのBonusToolsに入っているAuto Unwrap UV Toolsをメインに使っています。
BonusToolsはフリーですので検索してインストールすればすぐに使えるようになります。↓

 

操作は少しクセがありますが、コマンドをMel化して、ショートカットキーやマーキングメニューにいち早く追加してあげればとても楽に展開できるようになります。
まずは、展開したいオブジェクトを選択してAuto Unwrap UV Toolsを押すとオプション画面が開きますので任意で選択してEnterToolを押します。↓

基本はデフォルトで構いませんが、DisplaySettingの3つのチェックは外しています。

 

展開するときはedgeを選んでcontinueで展開↓

 

Doneで展開終了↓

 

unfold3Dで展開されるのでこの作業の繰り返しでほぼ問題なく綺麗に展開をしてくれます。
この「Auto Unwrap UV Tools」と「Continue」「Done」の3つのコマンドをMEL化させてホットキーかマーキングメニューに追加しておくと便利です。↓

 

展開後はそのまま使う場合もありますし、LatticeやPinツールで形を調整してunfold(legacy)をかけなおします。↓

 


 

UVを取ったら解像度を合わせるために一度Combine→LayoutUVをかけ、UVの解像度の大きさ自体を統一させます。↓
LayoutUVは2018からでしょうか、新しくオプション機能が増えたのでとても便利になりました。↓

 

 

編集に関しては、NSUVを使うか、2018から入っているUVToolkitを使うかの2択かな?と思います。
2018からのUVEditorは大幅に変わっていて最初迷いますが、シェルフ機能やUVToolkitの導入でとても編集の幅が広がりました。
最近は Toolkitの方でも問題なく編集できるかな?と思いますが、操作性は違うのでこの辺りは好みですし慣れだと思います。↓

※一点だけ、
NSUVと従来の UV Editorを併用して使うと作ったシェルフが消えてしまうので併用するときは注意が必要です。

 


 

展開後、②③に関しては基本ですが、まず最初に気をつけることですので、配置の並びと、隙間も少しは開けておく事に気をつけます。
隙間、いわゆるpaddingに関してはミップマップの関係もありますので2kで間8ピクセル以上、4kで16ピクセル以上と、解像度に応じてそれなりの間隔を持たせるようにしています。↓

 

④の解像度に関しては、とても大切でこれを合わせておかないとオーバークオリティ、ロークオリティになりかねませんのでチェッカー等で確認して解像度の違いをみていきます。
MAYAに入っているチェッカーでも全然いいですし、私は独自で作ったチェッカーのテクスチャーを実際に貼ってみて大きさや UVの向き等、どんな感じか見たりしています。↓

 

⑤のUDIMに関しては、
1つのシェーダーでひとくくりのUDIMの構成という考え方になります。
例えば肌なら肌同士、鎧なら鎧同士、武器は武器同士と言うようにできる限りシェーダーを多用しないでテクスチャーを描けるようにする事がとても作業を楽にしてくれます。
もちろん何でもかんでも1つでと言う考えも良くはないので例えば、顔周りの兜などはカメラが寄る事を考えて編集しやすいようにシェーダーを分けておく等、特殊なケースを想定してシェーダー数を増やすというような考えも持っておくと良いと思います。↓

 

⑥⑦に関しても同じで
UDIM内で収められる質感のものはできる限り同じくくりで考えてあげることと、
流用するモデルに関しても同じ組の中に入れてあげるといいかなと思います。↓

 

この辺りはまたシェーダーの説明の際に改めてご説明いたしますが、
例えば今回なら、兜なら兜自体の構成に1シェーダー、小さいネジや紐といった流用パーツにそれぞれ1シェーダー、といった感じになりました。
他の鎧や武器などにも流用シェーダーは入りますが各小物パーツ1つに1シェーダーといったような50も100もシェーダーをつくることは避けます。↓


 

最後に⑧のUVの表裏を確認することと、Zbrushとのやり取りがあるとUVの接合点が外れることが多いのでかならずMargeUVをかけておくことを忘れないようにしてください。↓

 

※UVの再調整などをした場合は必ずUnfold(legacy)をかけなおしてください。

 

上記を踏まえて各展開をしたのが↓です。

顔周り以外は全て4kベースです。
あくまでもどこのショットにも耐えるような解像度で作成していますので、トータル70組程度のUDIMでそれぞれに要素のテクスチャーが入るのと、他、髪の毛のマスクやピンポイントで作る内容などあったとしてテクスチャー総数は500枚くらいかな?と考えています、もっと増えるか減るもしれませんが。。
シェーダー数も20以内で納めるという想定です。

あと、容易に編集できるようなMelを作ったり、外からMelを参考にしたりして手軽に展開が出来るようにしています。(CheckerSizeToolや、AriUVGritting、Loop等)


 

機能説明などをすると1回では終わりませんので簡潔にまとめましたが、今回はUV展開で気にかけていることをまとめてみました。

お仕事としてモデル制作するときは、いつも他の方が自分のモデルを調整することがあるかもしれないという事を忘れない事がとても大切で、そう思えばおのずと①~⑧の考えも芽生えてくると思います。
今回の制作は個人的なものではありますが、ブログにするという意味でも自分本意の仕事をしないよう心掛けています。

 

 

時間が空きましたが次回からMARIにてテクスチャーを描いて参ります。

 

読んでいただきましてありがとうございました!