[戦国武将19] MARIでテクスチャーを描くPart2 -オリジナルの肌の各要素を作成する-

こんにちは!越智光進です。

 

今回は前回からの続きで肌質の要素をそれぞれ作成してレンダリングするまでのご説明をしていきたいと思います。

まず前回までで、肌のdiffuse作成をしましたが、そのレイヤー情報を利用して各種要素を作成します。

 

肌のシェーダーはレンダラーそれぞれにSSSシェーダーや設定が存在するのでそれぞれのシェーダーにどんな要素が必要なのかをまずは把握することが大切です。

今回はVrayでレンダリングしますが、Arnoldでも同じような要素を作成することにもなります。Vrayはスキン用VraySkinMTLシェーダーとfastskinSSSの2種類あります。

使うシェーダーはいろいろなフローで制作されている方がたくさんいらっしゃるので一概にこれが正解という方法はないのですが、Diffuseをまずは作成してそれを利用してScatter要素を作成するという方法は一緒ではあると思います。


では、今回はVraySkinMTLシェーダーを使って各種要素を作成していきます。
必要なテクスチャー要素は、

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①diffuse(albedo)
②specular2種類 primary/secondary
③gloss (roughness)
④sss要素3種類 deep/medium/shallow(fastSkinSSSの場合は1種類)
⑤sss mask
⑥normalもしくはbump

+
⑦displacement

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というところでしょうか。
normal(bump)、displacement、diffuseはそれぞれ作成済みです。
他たくさんあるように思えますが要素作成自体はベースを作成して併用していけば複雑な思考にならないと思います。
難しいのはスペキュラーのかかり具合を調整したり、SSSの色味を調整したりとテクスチャーを作成してレンダリングしながらの調整の方に時間を費やすと思います。

 

ではMARIで作成したdiffuseのレイヤー情報を使って各種要素を作成していきます。


-specular-

specularはSSSシェーダーには2種類あってprimaryとsecondaryに分かれています。
1枚で完結させればsecondaryは絶対使わないといけないわけではないのですが、
目の周りや口の潤いなど、ハイライトの部分にも変化を加えたい時などにsecondaryを使います。
(このあたりの用途の考え方はどんなアセットを作るかで考え方もそれぞれ違う場合もあります)
カラーとして使う場合はSRGBとして16ビット、amount用の場合は8ビットで構いません。

diffuseレイヤーをコピーして彩度を下げ、Levelsやscaleなどを使って調整していきます。↓

この時Analyzerを使ってグレートーンのパーセンテージを確認しながら調整します。
また、最初にシェーダー内のパラメーター数値からベースになるトーンのレベルが何パーセントなのか?

決めておくとそこからの足し引きで描いていけますので効果的だと思います。↓

 

同時にsecondaryに必要な要素も別チャンネルから作成していきます。目の周りのウルウル、鼻の先、口のまわり等、少しハイライトが目立つ部分に重きを置いた要素を作成しておきます。↓

 


 

-glossness-
glossはマスクマップとしてアサインするので8ビット、colorDataはScalarで。

リフレクションに対して光沢がどのくらい強いのか、弱いのかをグレートーンで決めていきます。↓

画像はマスクマップとして作成して、MAYAのblendColorをつかってパラメーター調整をします。(本来はここまで濃淡はないと思います)


 

-SSS-

サブサーフェスの要素は、shallow medium deepと3種類に分かれています。構造等の説明をすると終わらなくなりますので控えますが、MARI内のカラー調整機能でそれぞれ作成していきます。
この色味で見た目のイメージが決まってきます。
こちらもLevelsやscale等を使いながら下記のような色の素材を用意していきます。↓


 

-SSSMask-

あと大切なことはSSSのマスクを作成する事です。(こちらもScalar)
サブサーフェスのかかりやすい箇所、特に薄い表面等見られる箇所とそうでない箇所に分けて白黒のマスクを作成してシェーダー内の必要な箇所にアサインします。
今回は人体ですので、耳周り、目の瞼付近、鼻の中等を白に、それ以外を黒に描いておきます。↓

 


 

あとバンプマップはテクスチャリングXYZで作成したoffset50パーセントのテクスチャーをアサインします。↓

 


 

ここまで要素を作成したらひとまずシェーダーに各要素をアサインしてレンダリング確認をしていきます。
※もちろん先行して環境の設定も済ませておきます。↓

また、環境マップ(HDRI)は、室内室外で最低2.3パターン用意して確認していきます。↓

 

サブサーフェスで質感を付ける時、いっぺんに全てのテクスチャーをアサインするのではなく一つ一つ各要素をアサインしてはレンダリングし、見た目に問題がないか?確認しながら完成させていくことをおすすめします。特に初めて使う場合などは、全部一度にアサインしてうまくいかずどうしたらいいのかわからなくなる人が多いです。

 

先に話しましたがおそらく一発でうまくいくことはないので地道にレンダリング確認、MARIに戻って修正、またレンダリング、という流れを繰り返します。

流石にこの工程時間は省略しますが(^^;

 

カメラが寄りがちな顔周り、手のあたりは特に入念に仕上げていきます。
※体毛に関しましてはほとんど見えることはないのとデータ容量的に重くなるので今回省略いたします。

 


 

MARIとの頻繁なやりとりがめんどくさいとい方は、シェーダーワークとしてMAYAのUtilitiesの中にあるBlendColor等も使ってパラメータ調整しながら詰めていく事も大切です。↓

 


 

現状↓のような感じです。(少し武田信玄の目のイメージ画像から離れるかもしれませんが目周りのシルエットを少し調整しています。)


1発レンダリングですのでまだ何も色調整やコンポ作業はしていませんが、眼のうるうる感やひげの生え際の質感ををさらに出したいのでもう少しだけ手を入れる予定です。
髪の毛はXgenを初めて使ってみましたが、7割くらいの出来です。こちらも毛の流れや量、後頭部の生え方など、また改めていく予定です。


というわけで肌の回は今回で終了です。

肌の説明で素っ裸もどうなの、、ということでせめてふんどし姿にしましたがイメージ的にお見苦しいのですがお許しを。。
細かく話していると肌だけで何回ブログをかかないといけないかわからなくなるので少し短略的な説明で申し訳ないのですがご容赦ください。

 

肌の質感を覚えるのは人の制作例をみてもある意味わからない部分がおおいとおもいます。実際に自分で何かを制作をしてみて、その制作物から必要な要素を作成した上でどうすればよくなるのか?
を、レンダリングしてみて試行錯誤しながら覚えていくのが一番近道だと思います。
絵を描くときも、CGで物を作るときも、人肌の質感表現は永遠のテーマみたいなものです。
正直何度調整してもうまくいかないことの方が多いですし、迷走することも多々あると思います。今回の制作も個人ですので制作上の限界もありましたが、悩みすぎず一生勉強とおもって取り組んでいくくらいがいいと思います。

 

 

次回はプラグインのExtensionPack等を使用して鎧のテクスチャーを作成をしていく予定ですが、まだわかりませんが、MARI4.5の新機能で描いていけるならそういう内容にするかもしれないです。

 

今回も読んでくださいましてありがとうございました!