NUKE 13.1 新機能紹介

こちらの記事では、Foundry社からリリースされた『NUKE 13.1』の主な新機能や改良点について紹介致します。

 

 

▼目次

 

▼Unreal Engineとの接続(UnrealReaderノード)[ベータ版の機能]

UnrealReaderは、NukeとUnreal Editorを接続する、新しいNukeXのノードです。UnrealReaderは、コンポジター向けにUnreal Engineからライブレンダリングを生成し、その結果をNuke内で制御することで、レイヤー内でのオブジェクトの分割、パスの分離、環境マップの構築、ショットのフレーミングの調整などを、迅速かつ簡単に行うことができます。この機能は、Nuke 13.1ではベータ版としてリリースされています。

UnrealReader は、Unreal マップ内のシーケンスとNukeを同期させ、レンダリングパスを Nuke内へ直接ストリーミングします。UnrealReaderは、TCP/IP接続を介して接続されるため、Unreal Editorは、Nukeと同じマシンや別のマシン、さらには異なるオペレーティング・システム間でも実行することができます。内部的には、UnrealReaderはUnrealのMovie Render Queueシステムをラップして、Nukeのツールセット内で直接インタラクティブに合成するためのワークフローを提供します。

UnrealReaderを使用するには、NukeXまたはNuke Studioのライセンスが必要です。また、Nuke Server と呼ばれる Unreal 側のプラグインを最初にインストールする必要があります。Nuke Server のダウンロードとインストールの手順は、こちらのページ(英語)のInstalling Nuke Server to Connect Unreal Engine and NukeXセクションに記載されています。

 

・主な機能

  • Unreal の Nuke Serverに接続する

UnrealのNuke Server プラグインを使用すると、Nuke を Unreal Editorに接続することができます。この接続は、同じマシン上でも、別々のマシン間でも可能です。

 

  • マップとシーケンスの選択

UnrealReaderノードを使用して、現在実行されているUnreal Editorセッションから、表示する「マップ」と「シーケンス」を選択します。個々のショットシーケンスまたはマスター シーケンスを選択できます。

 

  • Unreal の最新の変更内容を取得する

Unreal の複数のアクターをアップデートし、Unrealのプロジェクトで変更を保存することなく、Nukeのコンプファイル内で変更内容を確認できます。

 

  • オンデマンドでレンダリングパスを読み込む

ノードレベルのコントロールを使用し、Unrealからオンデマンドで取り込むレンダリングパスを選択して、作業に必要なものだけを取り込むことができます。

 

  • カメラの作成

リンクされたカメラ、またはリンクされていないカメラを作成して、Unrealのシーケンスと同じカメラを Nukeの3D環境内で作成することができます。これにより、新しい要素をシーンに組み込んだり、ポイントクラウドによってシーンをビジュアライズしたり、3Dの要素を合成したりすることができます。

 

  • カメラの入力

NukeのCameraノードをUnrealReaderに接続することで、Nukeで直接、レンダリング時のUnrealのレンダリングカメラの位置と回転をオーバーライドすることができます。これは非破壊的なオーバーライドで、Unrealのプロジェクトファイルには保持されません。

 

  • Cryptomatte に対応

マットベースのワークフローのために、Cryptomatteの出力にも対応しています。

 

  • キューブマップ

選択されたすべてのパスを含めて、UnrealReaderを通してキューブマップをレンダリングし、環境マップベースのさまざまなワークフローに使用できます。

 

  • 拡張されたステンシルレイヤー

個々のUnrealのアクタを独自のレイヤーでレンダリングします。その際に、遮蔽している前景要素やダイナミックシャドウを除去したり、ステンシルレイヤーを使用して生成するレンダリングパスを選択したりする機能を備えています。これにより、特定のオブジェクトのためのマットを生成したり、従来のコンポジットのようにオブジェクトを1つずつ重ねたりするような、柔軟性のある作業が行えるようになります。この機能の使用について、アルファチャンネルの対応に関する詳細は、こちらのページ()のImportant Information on Running Nuke Serverを参照してください。

 

  • UnrealのMovie Render Queueシーケンスの書き込みまたは読み込み

UnrealReader の Writeタブ内で、Unreal EngineのMovie Render Queueを使用してフルシーケンスをレンダリングし、Readノードを作成したり、ファイル読み込みオプションを使用することができます。

 

  • Advanced設定の制御

高度な設定を変更して、ワークフローに合わせてMovie Render Queueの出力を最適化します。

 

  • コンソールとコマンド変数

Unreal Engineの多数のコンソール変数を制御し、コンソールコマンドを発行して、Nukeから直接、複数の方法でレンダリングイメージの品質を制御できます。

 

 

 

▼3Dのユーザーエクスペリエンス

Nuke 13.1では、Nukeの3Dハンドルを完全に再設計し、より使いやすく機能を拡張して、他の3Dアプリケーションの標準に近づけました。これらの改良により、Nukeの3Dシステムでの作業が迅速かつ容易になり、3Dオブジェクトを正確にViewer上で直接配置することが簡単になります。

Nukeの新しい3Dトランスフォームハンドルは、Katanaのものと一致しているため、2つのアプリケーション間での作業がシームレスになりました。新しいハンドルには、複数の軸でオブジェクトを変形させるための新しいウィジェット、ホットキーを使ってビューア内のトランスフォームハンドルのサイズを変更する機能、および、ジオメトリを動かさずにピボットを移動させることができるように、ピボットポイントコントロールの更新が導入されています。

また、様々なDCCの標準設定に基づいたホットキーの選択や、ジオメトリの変形ツールを選択するための新しいツールバーも追加され、ワークフローを中断することなく、Nukeとお使いのDCCの間を簡単に行き来できるようになりました。

最後に、ローカル空間、ワールド空間、スクリーン空間でジオメトリを操作する機能が追加され、Nuke内の必要な場所にジオメトリを簡単に配置することができるようになりました。

 

 

▼OCIO v2への対応

Nuke 13.1では、OCIO v2に対応しています。

このリリースでは、今年の初めにリリースされた新しいOpenColorIOv2.0ライブラリを使用するために、Nukeファミリー全体を更新しました。OCIOv2.0には様々な新機能や改善点が含まれており、その多くがNukeで利用できるようになっています。OCIO v2.0の詳細はOpenColorIOのウェブサイトに掲載されていますが、主要な機能は以下の通りです。

  • 新しいGPUを実装
    • Nuke Studioで、Node GraphのビューアとTimelineのビューアでの画像の出力結果が一致するようになりました。
    • Node Graphのビューアでは、CPUとGPUのパスを切り替えたときに、画像の出力結果が一致するようになりました。また、GPUパスを有効にした場合の再生パフォーマンスも改善されています。
  • 標準機能としてのACESの対応、および内蔵の色変換
    • OCIO v2のコンフィグは、LUTへの依存度が低くなり、より高い精度の結果が得られます。
  • .clf(Academy Common LUT Format)および.ctf(Autodesk Color Transform LUT Format)に対応

 

OCIOライブラリが提供する機能に加えて、いくつかの更新が行われています。

  • すべてのOCIOノード群が、Timeline上でSoft Effectsとして利用可能になりました。
     

     
  • OCIODisplayノードが、モニター出力デバイスを含むすべてのビューアで使用されるようになりました。
     
  • OCIOColorSpace[Swap input/output]ボタンが追加され、ワークフローがスピードアップしました。
     

     
  • OCIODisplay[invert direction] チェックボックスを追加し、OCIO v2の新しいディスプレイ変換またはビュー変換機能に対応しました。
     

     
  • Timelineのビューアのために、OCIOの「isdata」に対応しました。
     
  • より一貫したユーザーエクスペリエンスのために、いくつかの小さなUIの改善を行いました。
     
  • NukeのlibOpenColorIO.(dylib|so)の名前がlibOpenColorIOFoundry.(dylib|so)に変更されました。これは、Nukeが、ユーザーのシステム上にあるOpenColorIOの他のビルドと競合しなくなります。

ライブラリとノードが OCIOv2 に更新された一方で、バンドルされているOCIOのコンフィグはv1のままです。これにより、13.0およびそれ以前のバージョンとの下位互換性が確保されます。

 

 

▼ACES 1.2 への対応

ACES 1.2に対応するために、バンドルされているOCIOのコンフィグが更新されました。また、この更新の一環として、古いACES 1.0.3のOCIOのコンフィグが削除されました。現在このコンフィグを使用している場合は、カスタムのコンフィグとして読み込む必要があります。

 

 

▼機械学習ツール(AIR)に関する更新

・Inferenceがサードパーティ製のPyTorchモデルに対応

Nuke 13.1では、CopyCatの大幅な改良に加えて、Inferenceノードでサードパーティ製のPyTorchモデルを読み込む機能が追加されました。これにより、PyTorchモデルで開発された幅広いコミュニティおよび研究をNukeに取り込むことで、NukeはCopyCat外で訓練されたPyTorchモデルを実行できるようになります。新しいCopyCatの更新により、訓練はより速く、より正確になり、Nuke内で標準の機械学習の力をさらに活用できるようになりました。

 

・CatFileCreatorノードの追加

新しいCatFileCreatorノードは、TorchScript形式のPyTorchモデルからカスタムの.catファイルを作成し、それらをInferenceノードで読み込んで実行できます。CatFileCreatorでは、モデルの入出力チャンネルや解像度を定義したり、モデルを制御するためのノブを作成したりすることができます。新しいCatFileCreatorノードおよびInferenceノードにより、サードパーティ製のモデルをNukeに統合し、変更可能なノブを備えたNukeのツールに変換し、チーム全体で共有することができます。この新しいワークフローにより、パイプラインでの機械学習の使用が容易になり、Nukeの機械学習からさらに多くのことができるようになります。

 

 

ご注意:

Inferenceノードでノブの値を変更したり、CatFileCreatorノードで.cat ファイルを作成するには、NukeXNuke StudioNuke Indieのいずれかのライセンスが必要です。

Nuke Indieライセンスで作成した.cat ファイルは、Nuke Indieでのみ使用できます。

 

 

▼Macでの Hydra ビューアの対応

Nuke 13.1 では、Nukeの3D ビューポートのHydraのサポートをmacOS上で動作するように拡張し、Macユーザーが新しいビューポートレンダラーとしてhdStormを利用できるようにしています。NukeのビューポートでhdStormに対応することで、Nukeはパイプライン内の他のアプリケーション(Katana、Solaris、USDView)と一貫性のある3D ビューアを確保できるようになるだけではなく、Scanline Render からの出力結果をより忠実に再現する 3D ビューポートを提供します。

 

 

▼Cryptomatteに関する更新

このバージョンには、Cryptomatteの更新と、全く新しいネイティブバージョンの Encryptomatteノードが含まれているため、Nuke 13.1では Cryptomatteを使用してより多くのことができるようになります。

 

・Cryptomatte

Cryptomatteのワイルドカードの構文が拡張され、マットリスト用に 「-」 記号を使用した新しい式の除外が導入されました。これにより、マットリストの選択範囲からCryptomatteを除外することができ、複雑なマットの選択が容易になります。

マットリストは、左から右、上から下の階層構造になっており、マットリストの最後の項目、通常は一番下の項目が、その前にリストされている項目よりも優先されます。式の除外(「-」記号)と式のワイルドカードを併用することで、複数のマットを個別に選択することなく、数行で複雑なマットの選択が可能になります。

 

・Encryptomatte

新しいネイティブバージョンのEncryptomatteノードでは、Nuke内で独自のCryptomatteをエンコードすることができます。

Encryptomatteノードは、任意のアルファの入力を受け取り、それをCryptomatteで選択可能なIDに変換して、Cryptomatteノードを使用して下流で選択できるようにします。新しいマットは、既存のCryptomatteと合成することができます。オプションで既存の Cryptomatteにoverまたはunderで合成できるほか、既存のCryptomatteレイヤーに配置する、もしくはEncryptomatteノード内で新しいマットを作成することができます。

Encryptomatte を重ねることで、同じCryptomatteレイヤーに複数のマットを配置することができます。

 

 

ご注意:

Cryptomatteファイルを正しく書き出すには、プロパティパネル内の[Export Write]ボタンを使用するか、.exrを書き出すWriteノードのプロパティで3つの設定を変更する必要があります。

1. [channels]ノブを[all]に設定する必要があります。

  • Cryptomatte のデータは、rgba ストリームではなく Cryptomatte のレイヤーに保存されるため、すべてのチャンネルをレンダリングする必要があります。

2. [datatype]ノブは32ビットのfloatに設定する必要があります。

  • 現在対応しているハッシュが、MurmurHash3の32ビットバージョン(別名MurmurHash3_x86_32)の1つのみのため、この設定が必要になります。

3. [metadata]ノブを[all metadata]に設定する必要があります。

  • メタデータは、ファイルに含まれるCryptomatteのレイヤーに関する情報を提供するために必要です。

 

 

▼プロジェクトの読み込み時間の短縮

今回のリリースでは、hroxプロジェクトの読み込みにかかる時間を25%〜30%短縮しました。

Nuke StudioとHieroのプロジェクトが大きく複雑になるにつれ、読み込みに時間がかかるようになり、ワークフローのボトルネックになっています。これを改善するために、数回にわたって段階的な改良が行われ、タイムラインでのプロジェクトの読み込みにかかる時間を大幅に短縮しています。Nuke 13.1では、これらの改良の第一回目がリリースされており、13.1のバージョンで保存されたプロジェクトを読み込む際に、25〜30%の時間短縮が確認されています。これは現在進行中のプロジェクトで、次回のリリースではプロジェクトの読み込み時間がさらに短縮される予定です。

この改善を確認するには、13.1のバージョンで保存されたプロジェクトを読み込む必要があります。 Nuke 13.1で作成された新しいプロジェクトは、自動的にこの効果を得られますが、古いプロジェクトは、読み込み時間の改善を確認するために、Nuke 13.1で保存し、再度開く必要があります。

 

 

▼Monitor Outでアノテーションとマウスカーソルを表示

Nuke 13.0に引き続き、Monitor Outプロパティのパラメータを整理して、より直感的に操作できるようにするとともに、新しい機能を追加しました。今回のリリースでは、モニター出力デバイスおよびフローティングウィンドウ上で、アノテーションとマウスカーソルを有効にする機能を導入しました。これにより、誰もが明確にポイントし、注釈をつけることができるようになり、すべてのレビューセッションが容易になります。

マウスカーソルおよびアノテーションを表示するための個別のコントロールと、マウスカーソルのサイズを定義するための環境設定があります。また、新しい[Horizontal Flop]オプションも追加されています。

また、AJAとBMDのSDKも更新されました。

 

 

▼複数のプロジェクト間でのコピーペースト

複雑化するプロジェクトを管理したり、大規模なプロジェクトまたはエピソードコンテンツで作業する際にプロジェクトを分割したりするために、Nuke 13.1 では、クリップやシーケンスをプロジェクト間でコピーペーストできるようになり、複数のプロジェクトでの作業が容易になりました。

クリップやシーケンスはもちろん、複雑な構造のビンであっても、あるプロジェクトから別のプロジェクトへ素早く簡単に移動できるようになり、ワークフローに合わせてプロジェクト間を自由に移動できるようになりました。あるプロジェクトから別のプロジェクトへの要素の移動を容易にすることによって、異なるプロジェクトからデイリーを作成する際に非常に便利で、エピソード作品を扱う際にもより簡単なプロジェクト管理が可能になると考えています。

ユーザーは、アイテムをフォルダのルートにペーストするか、元のプロジェクトの同じフォルダ構造を維持するかを選択できます。この動作は、Preferencesパネルの[Project Items]セクションで管理できます。

 

 

▼Soft Effectsに関する更新

このリリースでは、5つの新しいソフトエフェクトがHieroとNukeStudioに提供され、既存のソフトエフェクトにも機能が追加されています。

 

・新しいSoft Effects

  • ModifyMetadata

スタジオでのメタデータの管理を容易にするため、タイムライン上で利用可能なSoft EffectsのリストにModifyMetadataが追加されました。このソフトエフェクトは、トラックアイテムから空のトラックまで、タイムライン上のさまざまな領域で使用できるため、ユーザーが新しいメタデータの値を追加したり、既存の値を修正したりすることが簡単に行えるようになります。各プレートに個別にメタデータを追加することも、シーケンス全体にメタデータを追加することも可能です。

  • ColorLookUp

TimelineにColorLookUpソフトエフェクトが追加され、カーブを使用したカラーコレクションやルックアップテーブルを使った調整が可能になりました。ColorLookUpソフトエフェクトは、Node Graph内での同じ名前のノードと完全に同じように動作します。

 

  • OCIO

すべてのOCIOソフトエフェクトは、OCIOメニューの下にあり、3つの新しいソフトエフェクトがNuke Studioのタイムラインに追加されました。

  • OCIO Display  
  • OCIO LogConvert
  • OCIO LookTransform

 

・Soft EffectsにUnpremultとMixが追加

タイムライン上のすべてのColor系のソフトエフェクトに、unpremultおよびmixのノブが追加され、より正確なカラーワークフローが可能になりました。クリップまたはトラックのRGBチャンネルとアルファチャンネルでアンプリマルチプライすることで、カラーワークとエッジを常に完璧に保つことができます。また、mixノブは、カラーコレクションの影響度を調整できるため、クライアントからの「差異」の要求にも対応できます。

以下のソフトエフェクトには、これら2つの新しいノブがあります。

  • Grade
  • ColorLookup
  • ColorCorrect
  • OCIOソフトエフェクト
    • OCIO CDL Transform
    • OCIO Colorspace
    • OCIO File Transform
    • OCIO Log Convert
    • OCIO Look Transform

 

・Effects Selector

より多くのソフトエフェクトを導入したため、ソフトエフェクトのみを選択する新しい選択ツールを追加しました。これにより、複雑なタイムラインで作業する際に、トラックアイテムを操作してしまうことなく、エフェクトのみを確実に選択することが容易になります。 

 

 

▼メタデータに関する更新

以前から要望の多かった機能として、Burn-InTextソフトエフェクトのカスタムメタデータにアクセスする機能と、メタデータパネルを開いたときにファイルの最初のフレームのメタデータだけではなく、フレームごとのメタデータを確認する機能が挙げられます。このことを考慮して、タイムライン上ですべてのメタデータを渡すことができるようにし、Metadataパネルを強化して、フレームごとのメタデータに対応した新しいパネルにしました。また、クリップやタイムラインにメタデータを追加、削除、編集するための新しい方法として、ModifyMetadataソフトエフェクトを導入しました。メタデータキーを含むタグは、新しいMetadataパネルでも表示されるようになったほか、新しいカスタムのバーンインを作成するためのタイムライン上のTextソフトエフェクトでも表示されるようになりました。 OTIOおよびメタデータ管理による将来のワークフローのために、この作業を行い、タイムラインを準備しています。

 

 

▼Soft Effectsの新しいコピーペースト機能

プロジェクトでは、ロックされた編集はめったにないことで、タイムラインは常に変化しています。シーケンスおよびタイムラインが変更された際に難しいことの1つは、すべてのソフトエフェクトと変更を新しい編集内容に適用できるかどうかを確認することです。異なるバージョンのシーケンス間で、ユーザーがソフトエフェクトを編集、管理、移動または更新しやすくするために、ソフトエフェクトをペーストする新しい方法を追加しました。ペーストする際には、従来の操作に加えて、現在のソフトエフェクトを上書きする方法や、ソフトエフェクトを新しい編集内容に順次ペーストする全く新しい方法などのオプションが追加されました。これらのユーザーエクスペリエンスの向上により、これまで以上に簡単に編集内容を発展させることができます。

 

 

▼その他の Nuke StudioのTimelineの機能の改良

今回のリリースでは、全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させるために、タイムライン内でのワークフローとデザインが改善されています。

・TimelineとNode Graph間のコピーペースト

Node GraphとTimelineの間で作業するユーザーのために、Nuke 13.1ではNode GraphとTimelineの間でコピーペーストする機能を導入しています。アーティストは、Timelineから任意のトラックアイテムおよびソフトエフェクトをNode Graphにコピーペーストしたり、同等のソフトエフェクトを持つノードをタイムライン内のシーケンスとして複製したりすることができます。この新機能により、TimelineとNode Graphの間の移行がシームレスになり、作業内容に応じて最適なコンテキストを使用することができます。TimelineとNode Graphの間を行き来して、それぞれの良さを引き出すことがこれまで以上に簡単になりました。

 

・Frame Per Secondの変更

長い間要望されていたもう1つの機能は、特に画像シーケンスを処理する際に、ファイル上で間違って設定もしくは定義されているクリップの1秒あたりのフレーム数(Frame Per Second、FPS)を変更する機能です。今回のリリースでは、プロジェクトビンにインポートされたクリップのFPSを変更する新しいオプションが追加されました。

 

・Timeline Viewのツールバーの更新

その他のデザイン上の改善点として、タイムラインメニューツールバーが更新され、Soft EffectsCreate Compが分離されました。これにより、ワークフローのスピードアップが図られ、必要なツールにより素早くアクセスできるようになります。

 

・再生ヘッドのデザイン変更

また、再生ヘッドのデザインも一新され、どのトラックが表示されているかと、AまたはBバッファのどちらに割り当てられているかを示す、線とAまたはBのインジケータが新たに追加されます。これらの新しいUI要素は、表示されているトラックの数とそのバッファを示すように変更され、どのトラックがどこに読み込まれているかを正確に把握しやすくなります。

 

・Spreadsheetでのバージョン数の表示

プロジェクトではバージョン数が非常に急速に増加する可能性があるため、Spreadsheet[Num Versions]という新しい値を追加し、そのシーケンスのバージョンの合計数を表示します。この値は、新しいバージョンが利用可能な場合、新しいバージョンをスキャンする際に変更されます。これにより、多数のバージョンが存在する複雑なプロジェクトの管理が容易になります。

 

 

▼「シェイク」操作によるノード接続の解除

Nuke 13.1では、待望されていた機能「Shake to Disconnect」を搭載しました。

ノードを 「シェイク」するだけで、そのノードをパイプから切り離すことができます。この操作はデフォルトで有効になっています。

「Shake to Disconnect」は、単一のノード、異なるブランチにまたがって選択された複数のノード、または連結された複数のノードで動作します。Nuke 13.0で改善された、連結された複数のノードをパイプに正しく挿入する機能と連携して、この新機能は素早く簡単にスクリプトのセクションの周辺に移動させ、切断と再接続を簡単に行うことができます。

「Shake to Disconnect」には、感度のコントロールや、有効または無効に切り替える機能があります。これは[Preferences][Node Graph] > [Disconnect Nodes]で確認できます。

 

 

▼Blackmagic RAW v2.1への対応

今回のリリースでは、NukeとNukeStudioの両方でBlackmagic RAWファイルに対応しました。2.1 SDKバージョンを使用します。

Blackmagicコーデックに含まれるRAWデータを読み込んで作業する機能により、ユーザーはNuke内またはタイムライン上の.brawファイルを編集し、撮影現場で決定されたものを超えて、ショットのルックをクリエイティブに決定することができます。ユーザーは、ISO、ホワイトバランス、露出などの機能をRAWデータとして非破壊的に変更でき、画質を維持しながらの後処理で画像をより細かく制御できます。これにより、後処理によって追加のアーティファクトを発生させることなく、自由に柔軟な発想で可能な限りの最高の画像を作成することができます。

これらの変更はすべてサイドカーファイルに保存できるため、撮影時の元のデータを保持したまま、画像を完全に制御することができます。さらに、Blackmagic社の最新の「Generation 5」カラーサイエンスに対応しているため、画像を正確に表示し、最新のBlackmagicカメラを使用して作業することができます。

Nukeの「エコシステム」に新たなプロダクション品質のファイル形式が導入され、コンポジターの思い通りにファイルを処理できるようになることをとても楽しみにしています。

ご注意:

本ビルドでは、以下のBlackmagic RAW機能は対応していないことにご注意ください。

  • オーディオの対応
  • Generation 4のカラーサイエンス(Generation 5のようにBlackmagic社がカラーサイエンスをリリースする必要がありますが、ユーザーが独自のソリューションを作成したい場合に備えて、Generation 4のオプションを維持しています。)
  • ACESカラーマネージメントワークフロー(これは、AcademyがBMD RAW IDTをリリースする必要があります。ワークフローとしては、Readを[Raw Data]に設定し、[Gamut]を[ACES AP0]または[ACES AP1]に設定することが考えられます。)

 

 

▼Red R3D RAWに関する更新

今回のリリースでは、Red R3D RAWリーダーがバージョン8.0.4に更新され、ユーザーはRed社の最新のカメラを使用して、最新の技術と機能を利用することができるようになりました。また、Nuke Studioの更新により、Red R3Dファイルの読み込みに使用されるコードが統一されました。Nuke StudioでもNukeと同じコードが使用されるようになり、Nuke Studioでのいくつかのバグが解消され、Node GraphとTimelineの間で一貫した体験ができるようになりました。

更新されたR3D SDKの新機能と不具合の修正の詳細なリストは、こちらをご覧ください。

なお、2019年にRed社が非推奨としたRed RocketおよびRed Rocket-Xカードのサポートは削除されました。

 

 

▼USDバージョンの21.05へのアップグレード

Nuke 13.1では、NukeのUSDのバージョンが21.05へアップグレードされます。これにより、ユーザーは、USDの最新の開発成果にアクセスできるようになるほか、NukeのUSDのバージョンが他のFoundry社製品と一致するようになり、異なるFoundry社のアプリケーション間のパイプラインの統合がより容易になります。

 

 

▼その他の更新

・Colorspace関連のノブの名称変更

  • ReadノードおよびWriteノードでは、Colorspaceノブの[label]が以下のように名称変更されました。
    • Input Transform
    • Output Transform

  • Viewerノードでは、[viewer process]ノブの名称が以下のように変更されました。
    • View Transform

  • ノブの[name]は変更されていませんが、次のメジャーリリース(Nuke 14)では変更される予定です。

 

 

▼日本語版 Nuke 13.1 新機能紹介動画について

Nuke 13.1 の新機能に関しては、Foundry社 クリエイティブスペシャリスト 藤田 雅子 様より、各機能についてご紹介いただいた際の動画も公開されております。

こちらもあわせてご覧ください。

更新内容のリストにつきましては、こちら(英語)をご覧ください。

現在メンテナンスをご契約いただいている方は、NUKE 13 .1をそのままご使用頂けます。

こちらより、インストーラのダウンロードが可能です。

ダウンロードにはログインが必要となります。

 

メンテナンス更新をご希望のお客様は、こちらまでご連絡ください。