Nuke 13.2 新機能紹介

こちらの記事では、Foundry社からリリースされた『NUKE 13.2』の主な新機能や改良点について紹介致します。

 

 

▼目次

 

▼Unreal Readerの改善

このリリースでは、UnrealReaderをベースとして、安定性と使いやすさが大幅に改善され、既存の機能が強化されています。NukeServerプラグインがサポートしているバージョンは、Unreal Engine 4.27.2です。Windowsのみ、Unreal Engine 5.0にも対応しています。

 

・変更点

  • 安定性が向上しました。
     
  • 様々なUIの改善が行われました。
     
  • ステンシルレイヤーの選択ワークフローがより速く、より直感的なものに変更されました。
    • 選択可能なアイテムの古いテーブルリストは、Cryptomatteノードと同様の新しいビジュアル選択ワークフローに置き換えられます。
    • Layer Listでは、Cryptomatteノードと同じワイルドカード選択構文が利用可能です。
       
  • 新しいCryptomatteのレンダリングパスIDグループ化タイプが追加されました。
     
  • WriteセクションのFileノブまたはNuke Server内で、環境変数に対応しました。
    • 共有ネットワークドライブに書き込む際の、クロスオペレーティングシステム対応に役立ちます。
    • おなじみの[getenv<your_environment_variable>]構文がサポートされるようになりました。
       
  • EXRのCompressionオプションが拡張されました。
    • Unreal ReaderのWriteプロパティセクションのCompressionオプションが拡張され、Nukeにあるすべての標準的なEXRオプションが含まれるようになりました。

 

Nuke Server のダウンロードはこちらから行えます。 

Windows 4.27

Mac 4.27

Unreal Readerの概要、インストール方法、使用方法につきましては、こちらをご覧ください。

 

 

▼A.I. Research(AIR)の更新

このリリースでは、機械学習ツールの改善を続け、CopyCatノードを強化しました。より高速なトレーニング、複数のGPUのサポート、マルチチャンネルのトレーニングが行えるようになっています。また、トレーニング画像の数の制限を取り除き、-Xフラグを使用してヘッドレスのNukeでトレーニングできるようになりました。

単一のGPUトレーニングが最大30%高速化されただけでなく、複数のGPUを使用したセットアップを利用することもできます。すべてのGPUでCopyCatを同時に実行してトレーニングを高速化するか、各GPUで異なるトレーニングセッションを実行して、同時に複数のモデルをトレーニングできるようになります。

ご注意:
複数のGPUの処理には、使用するGPU数以上もしくは同等のBatch Sizeが必要です。例えば、2つのGPUがある場合、両方のGPUを使用するには、CopyCatのBatch Sizeを2以上に設定する必要があります。もしも、4 つの GPU がある状態でBatch Size を 2 に設定した場合、CopyCat は 2 つの GPUしか使用しません。

CopyCatは、GPUとNukeが処理できる数だけ、4つ以上のチャンネルをサポートするようになり、より高度で様々なユースケースのためにネットワークをトレーニングできるようになりました。

最後に、リモートマシンでトレーニングを開始する機能の手順を簡素化しました。これで、追加のPythonスクリプトを作成する必要なく、-Xフラグを使用してコマンドラインからCopyCatを実行できます。

 

 

▼トップダウンレンダリングの導入

NukeがNode Graphをレンダリングするための新しい方法を導入しました。トップダウンレンダリングにより、Nukeの2Dグラフ処理のパフォーマンスが大幅に向上します。 Nukeのパフォーマンスは、レンダリングするスクリプトによって異なりますが、内部テストではスクリプトのレンダリングが平均で20%速くなり、一部のスクリプトでは1.5倍も速くレンダリングされます。 

トップダウンレンダリングは、Nukeの従来のレンダリング方法を逆にし、オンデマンドでスキャンライン毎にレンダリングするのではなく、グラフの最上部から下へ、ノード毎にグラフをレンダリングします。これにより、Nukeはデータをより効率的にキャッシュし、スレッド同期の問題を減らし、全体的に高速なレンダリングを実現できます。

トップダウンはグラフの最上部から下に向かってノード毎にスクリプトをレンダリングするため、Nukeのスキャンライン毎のViewerへのプログレッシブな更新が、一度で画像全体を更新するように置き換えられます。

現在、スクリプト内でトップダウンレンダリングを有効にする方法は3つあります。

  1. 環境変数「NUKE_TOPDOWN=1」を設定します。
     
  2. コマンドラインからNukeを起動するときに「–topdown」フラグを使用します。
     
  3. スクリプトのProject Settings内で、新しいrender mode設定をtop-downに変更します。
     

上記のどの設定項目にもトップダウンを使用するように設定されていない場合は、Nukeはデフォルトの動作を使用し、クラシックモードでレンダリングします。

 

ご注意:
レンダーモードは、Project Settingsrender modetop-downに設定した場合のみ、スクリプトの一部として保存されます。これにより、次にスクリプトを開いたときに、選択したレンダリング方法が使用されます。「NUKE_TOPDOWN」環境変数または 「–topdown」コマンドライン引数を使用しても、スクリプトにレンダリングモードは保存されません。

 

 

▼3DのUXの改善

Nuke 13.2では、3D UXの改善の一環として、3Dピボットポイントを調整するためのより多くのオプションが提供されます。 3Dピボットポイントを回転する機能が追加され、直感的に3D Viewerから、およびプロパティパネル内の両方で、3Dハンドルをジオメトリにすばやく位置合わせできるようになりました。また、既存の選択ワークフローと同じワークフローに従って、ピボットポイントの位置を選択した頂点に一致させる機能を追加しました。これにより、ピボットポイントを目的の場所に正確に移動させることがはるかに高速かつ簡単に行えるようになります。すべてが整列していることを確認するために、ビューアをぐるぐる回す必要はもうありません!また、自由回転アルゴリズムも改良されたことで、Viewer内の自由回転オブジェクトがより直感的になりました。

 

・ピボットポイントの回転

プロパティパネル内とViewer内で直接ピボットポイントを回転させる機能が追加され、ピボットポイントの内部方向表示も追加されました。

 

・自由回転アルゴリズム

また、長年の機能要望を実装し、新しい自由回転アルゴリズムを追加しました。これにより、Viewer内での3Dオブジェクトの自由回転がより簡単に、より直感的に行えるようになりました。

 

・選択した場所へのピボットポイントの一致

ピボットポイントの位置を選択した頂点に一致させる機能が、位置合わせのメニューに追加され、ピボットポイントの正確な配置がより簡単に行えるようになりました。

 

 

▼Timeline Projectの読み込み速度の向上

エピソードプロジェクトおよび複雑なプロジェクトでの作業を容易にするためだけでなく、Sync Reviewでの共同作業を行うために、.hroxプロジェクトの読み込みにかかる時間が 13.0と比較して平均60%、最大95%短縮されました。

.hroxプロジェクトの読み込みにかかる時間を25%〜30%短縮した、13.1で行われた改善を継続し、大規模で複雑なプロジェクトを含むプロジェクトの読み込みにかかる時間を大幅に短縮し、Sync Sessionへの接続または参加をより高速に行うことができるようになりました。

これらの改善を確認するには、ユーザーは13.2で保存されたプロジェクトを読み込む必要があります。 Nuke 13.2で作成された新しいプロジェクトは、自動的にこれらの効果が得られますが、古いプロジェクトは、読み込み時間の改善を確認するために、Nuke13.2で保存し、再度開く必要があります。 これらの変更は下位互換性を維持しますが、これらの改善は13.2ビルドでのみ維持されます。

 

 

▼OpenTimelineIOの導入[ベータ版の機能]

13.2では、OpenTimelineIO(OTIO)を導入しています。これまでにメタデータ管理に関して行われた更新内容と組み合わせることで、OTIOは編集データを操作する際の将来の編集ワークフローになると期待しています。

OTIOは、編集カット情報のAPIおよび交換フォーマットです。 Edit Decision List(EDL)と同様に、データの読み取り、書き込み、および操作のためのAPIも含まれています。

本リリースでは、OTIOは、OTIO編集でのクリップ、トラック、トランジション、リニアなリタイムのインポートとエクスポートに対応しています。

このリリースでは、OTIO v1.0がまだリリースされていないため、OTIOはベータ版と表記されています。

 

 

 

▼Timeline内でノンリニアなディゾルブに対応

ノンリニアなディゾルブに対応することで、タイムライン上でトランジション操作を行う際のワークフローを改善します。

ユーザーは、Propertiesパネル内でトランジションを確認し、トランジションのキーを作成し、Curve EditorおよびDope Sheet内でディゾルブ、フェードイン、フェードアウトを編集できるようになりました。

ノンリニアなディゾルブを使用するには、タイムライン内のトランジションをダブルクリックし、Propertiesパネルからトランジションを編集するか、もしくは、Curve EditorまたはDope Sheetでフレームを調整および作成します。

トランジションは、ソフトエフェクトのあるクリップにも適切に適用されるようになりました。

 

 

▼Monitor Out機能でのNDIの対応

Monitor Out機能を改善し、レビューセッションの生産性を高め、チーム内の全員が常に共通認識を持つようにするための作業を継続しているこのバージョンでは、NukeファミリーでのNDIのサポートによる新しいワークフローが導入されています。

Network Device InterfaceもしくはNDIは、ビデオおよびメタデータ信号を標準的なIPネットワーク経由でリアルタイムに送信できるようにするネットワークプロトコルです。 これにより、ユーザーはビューアの内容をネットワーク上の誰とでも共有し、非常に簡単にストリーミングできるようになります。NDIに関しましては、こちら(英語)のページをご覧ください。

作成されたNDIストリームを表示するには、NDI Monitorを使用する必要があります。NDI Monitorおよび、その他の便利なNDI Toolsは、以下のページからダウンロードできます。

NDIツールを使用すると、Zoom、OBS等の他のアプリケーションを介したストリーミングを有効にすることもできます。ストリームを表示するために、ネットワークを構成する必要があることがあります。 そちらを行う方法を説明した包括的なドキュメントはこちら(英語)でご覧いただけます。

 

・NDIの機能(NukeおよびNuke Studio)

NDIを制御するための新しいPreferencesが、Panels > Viewer(Monitor Out)に追加されます。

デフォルトで有効化されているEnable NDIチェックボックスでは、NDIをViewerMonitorOutのパラメータのオプションとして表示するかどうかを制御できます。チェックを外すとNDIは表示されません。

Nukeファミリー製品のいずれかからの複数のNDIストリームが、ビューアで取得できる可能性があるため、それらを識別することが重要です。 Nuke製品からのストリームを識別するために使用される送信者名は次のような形式を取ります。

  • 製品名
  • プロジェクト名
  • Viewer名

 

・Viewer Monitor Out パネル

Preferencesのチェックボックスが有効になっている場合、Deviceドロップダウンで、NDIがオプションとして表示されます。NDIが選択されている場合、デバイスを選択した箇所の下に送信者名が表示されます。

 

 

▼Monitor OutのViewerへの統合およびNukeでのマルチモニター出力

Nuke 13.xシリーズで行った作業を継続し、Monitor Outにエキサイティングな新機能を追加しました。 Monitor Outへのこれらの継続的な更新により、ワークフローの効率を高める、これまで以上に強力なオプションが提供され続けています。

 

・Monitor Out 機能(Nuke)

  • ViewerのコントロールパネルのタブとしてMonitor Outが追加されました。
    • マウスがViewer内にあるときにSキーを押すと、Viewerのプロパティにアクセスできます。
    • Viewerノードをダブルクリックしても、プロパティが開きます。
      • Viewerノードを選択した状態でEnterキーを押すことでも、プロパティが開きます。
    • Monitor Outストリップの歯車のアイコンを押すと、Viewerのコントロールパネル内のMonitorOutコントロール群に直接アクセスできます。
    • WorkspaceのViewer Monitor Outを使用すると、再生コントロールの下にMonitorOutストリップが追加されます。
       
  • 追加された各Viewerノードは、それぞれ独立したMonitor Out機能を持つようになります。   
    • 複数のFloating Windowを同時に使用できるようになります。
    • 複数のNDIストリームを同時に送信できるようになります。
    • 単一のハードウェアデバイスから送信されるSDI機能は、単一のMonitor Outによってのみ使用されるように制限されています。

 

 

▼Monitor Out機能でのAJAおよびBlackmagic Design社製品使用時の機能更新

Viewer Monitor Outの新機能に加えて、AJA社およびBlack Magic Design社のビデオ出力デバイスを使用する際の機能も更新されました。

この作業は、NukeおよびNukeStudioで、AJA社およびBlack Magic Design社のカードを使用する際に、出力オプションが何であるかをより簡単に理解できるようにするために行われました。これらの変更は、様々な解像度のSDI出力を使用して作業しているアーティストにとても役立つでしょう。

 

・Output Setupコントロール群(NukeおよびNuke Studio)

  • Display Modeは従来通り、出力する解像度およびフレームレートを選択することができます。
     
  • Pixel Formatが更新され、YCbCr/RGBオプションが利用可能な場合は、表示されるようになりました。
     
  • 新しいSDI Mapping ノブが追加されました。
    • これにより、選択されたDisplay Mode、Pixel Formatの組み合わせで使用できるリンクとマッピングのオプションに自動的に切り替わります。
    • オプションは以下の通りです。
      • Single Link
      • Dual Link
      • Quad Link – SqDv
        • スクエアディビジョンを使用して、4つのSDIリンクで信号を4分割したものを送信します。

  • シングルリンクおよびデュアルリンク出力を送信する場合、AJAデバイスはカードからAJA推奨出力リンクにデフォルト設定され、リンク3および4からルーティングされます
    • 以前のビルドのNukeでは、1および2にルーティングされていました。
    • どの出力を使用するかを変更したい場合は、新しい環境変数を使用します。
      • NUKE_AJA_CHANNEL=1

 

・AJA T-Tap Pro

  • AJAT-TapProのサポートがViewerMonitorOutノードに追加されました。こちらのデバイスがシステムにインストールされている場合は、Deviceドロップダウンリストに表示されます。

 

 

▼ARRI画像のSDK バージョン 7.0.0に対応[ベータ版の機能]

ARRIは、新しいS35 4Kカメラに対応するために、このカメラからの画像をデコードしてディベイヤーするための新しいSDK(7.0)を作成しました。

こちらは、カメラとSDKがまだ完成していないため、ベータ版の機能としてNukeおよびNukeStudioに追加されました。

 .ari、.arx、.mxfファイルなどのレガシーのARRIファイルは引き続き読み込みできますが、古いARRI RAW 6.2 SDK を使用することになります。

 

 

▼Blackmagic RAW 2.2 SDKに対応

Blackmagic RAWを更新して、2.2 SDKに対応しました。こちらには、以下の更新が含まれます。

Blackmagic Video AssistによってキャプチャされたFujifilm GFX100およびGFX100S Blackmagic RAW クリップのサポートが追加されました。

Blackmagic Video AssistによってキャプチャされたPanasonic Lumix GH5S、BS1HおよびBGH1 Blackmagic RAW クリップのサポートが追加されました。

 

 

更新内容のリストにつきましては、こちら(英語)をご覧ください。

現在メンテナンスをご契約いただいている方は、NUKE 13 .2をそのままご使用頂けます。

こちらより、インストーラのダウンロードが可能です。

ダウンロードにはログインが必要となります。

 

メンテナンス更新をご希望のお客様は、こちらまでご連絡ください。