今回は、NUKE Writeノードによる プリレンダリングの読み込み機能 についてご説明します。
[概要]
プレビュー時間や、最終レンダリングの時間を、少なくする為の手法の一つに、あらかじめプリレンダリングできるものは先にレンダリングしておき、素材として読み込んで活用するという手法があります。
ある程度、パーツ毎に分けることができ、パーツとしてはFIXしていて、その後も特に更新がないというものは先にレンダリングし、プレビューや最終レンダリングの計算をできるだけ少なくしましょう。
この考え方は、概念的にはNUKEならではというものではなく、どのコンポジットソフトでも使える考え方です。予めの仕込みや、レンダリングコストを探りながら、計画的に進めていくということは、納期などに対するリスク回避という観点でも、事前に問題点等を発見することができ、そして早くその問題に対して、対応に取りかかれるというメリットがあります。
パーツ分けした物を更新しながら作成すれば、途中チェックが何段階かある場合や納期に注意しながら進めていく場合にも、フレキシブルに対応でき、最終レンダリングの時間とクオリティをコントロールしながら進めていくことができます。
そして、チェックバック時における修正も必要なパーツのみを修正してプリレンダリングすれば、修正したパーツ以外は、すでに素材として読み込まれているので、全てを1から計算する必要がなく、修正時のプレビューでの確認や、再最終レンダリングの計算時間を短縮することができます。
それでは、順を追ってご説明していきます。
[今回用意したもの]
今回の サンプルスクリプトでは、BGにFGを乗せて配置しています。
今回の サンプルNUKEスクリプトです。パーツ毎にプリレンダリングし、素材を読み込みます。
BGと各FGのキャラクタをプリレンダリングしまとめています。
今回は Node Graph の左側にBG、右側にFGのキャラクタを配置しています。パーツ分けができそうな所で、Writeノードを置いてプリレンダリングしていきます。BG、エフェクト、キャラクタ、オブジェクト等、パーツ毎にプリレンダリングをかけておけば、必要な計算が減ります。
次に、 Writeノードでのプリレンダリングの読み込み方をご説明します。
[Writeノードの設定]
まず、通常通りWriteノードを設定します。
続いてレンダリングします。レンダリングが完了したら
Writeノードの ”read file” を有効化し “check file matches Input” を無効化します。
“read file” を有効化することにより、そのWriteノードでレンダリングしたファイルを読み込むことができます。レンダリングしたファイルを読み込むことで、そのWriteノードより上流の計算を省くことができます。この工程をパーツ毎や、クオリティのコントロールをしたい部分(現段階ではドラフト状態でよいものなどを段階に沿って更新していく)などに行っていきます。このように段階的にレンダリングしていくことで、計画的に作業を進めていくことができます。
それでは、作業を進める上で組み合わせたい機能をご紹介していきます。
[Background Rendering]
せっかくの効率化の作業ですので、プリレンダリング中には、なるべく手を止めないで作業を進めたいものだと思います。そのような時には Background Rendering の機能を使用してレンダリングをバックグランドに回してしまうことで UI での作業を止めずに作業を進めることができます。
Dead line等のネットワークレンダリング環境をお持ちの場合
Background Rendering 、ネットワークレンダリング、どちらを使用しても UI での作業は進めることができます。
NUKE10.5v5 Backgroung Rendering
重くならない程度にメモリなどを設定します。
[NUKE11 にて Background Rendering が更新されました。]
尚、NUKE11よりBackground Renderingの仕様が変わり Frame Server にてレンダリングを行うことができるようになりました。NUKE11新機能紹介の記事の方にも Backgroung Rrendering についての記述があります。
NUKE11 Background Rendering Tab
(NUKE11) Background Rendering のパフォーマンス設定
Preferenceの “Threads/Processces” に設定項目があります。
また、NUKE11より UI 右下にマシンのパフォーマンスを確認できる項目が追加されました。
メモリ、CPU、ディスク速度、ネットワーク速度などを確認できます。
以上、今回はWriteノードでのプリレンダリングの読み込み機能について取り上げました。お手軽に設定でき、解除も簡単、Writeノードは黄色で目立ちますので視覚的にも流れが見やすいかと思います。プレビューの計算で時間がかかるのを回避したい方や、計画的に準備して後工程の負担を減らしたい方は、是非お試しください。
ご一読いただきましてありがとうございました。
[この記事での参照リンク]
NUKE 11 新機能紹介
http://nukex.jp/2017/07/25/nuke11-01/
NUKE11 Preferenceについて(英語)
https://help.thefoundry.co.uk/nuke/11.0/#appendices/appendixa/available_preferences_studio.html
NUKE Writeノードのファイル読み込みについて(英語)
https://help.thefoundry.co.uk/nuke/11.0/#comp_environment/rendering/reading_files_using_write.html
Writeノードについて(英語)NUKE10.5