こちらの記事では、Foundry社からリリースされた『NUKE 11.1v1』の新機能および改善点について紹介致します。
▼目次
▼ローカライゼーション機能の改善
ローカライゼーションには、3つのシステムモード、「On」、「Off」、「Manual」と新しい「On Demand」のローカライゼーションポリシーがあります。これらの追加のモードとポリシーにより柔軟なコントロールと直感的なローカライゼーション方法を提供します。
モードの切り替えは、Preferences > Localization より選択できます。
モードの内容は以下の通りです。
- on:ローカライゼーションポリシーがonとfrom auto-localize pathの時に、ファイルを自動的に確認および更新します。
- manual:該当するファイルの更新を自動的に確認しますが、強制的に実行されない限りローカライゼーションを行いません。
- off:ローカライゼーションポリシーに関係なくローカライゼーションを行いません。
ローカライゼーションポリシーは、Preference内と、Readノードのプロパティで設定が可能です。「on demand」が追加されていることが確認できます。「on demand」は、モードが「on」の場合でも、強制的な更新を行うまでローカライゼーションを行いません。
Python APIは、プログラマーがプログラム上でシステムモードとローカライゼーションポリシーをセット出来るように拡張されました。このAPIは、ローカライゼーションポリシーをセット、Readノードタイプによるポリシーの適用、特定の条件によるローカライズされたファイルの削除等が行えます。
ローカライゼーションに関するその他の新機能は以下の通りです。
- 中断処理:システムが中断された時、ユーザーは「force update」オプションを実行する事が出来るようになりました。
- 進行状況バーの変更:ローカライズされたファイルの「up to date」、「in progress」、「out of date」状態によって異なる色で表示されるようになりました。
以下の画像は、左側が「in progress」状態、右側が「up to date」状態のバーの見た目の画像です。
▼Visual Diagnostics機能の改善
NukeのパフォーマンスプロファイリングシステムにUIから簡単にアクセスできるようになりました。以前は、コマンドラインで 「-Pf」フラッグを付けて計測結果をXMLファイルとして出力し、ファイルを開いて確認する方法しかありませんでした。
このシステムは、Nukeスクリプト内の問題を発見するのに役立ちます。例えば、特定のノードがシステムリソースを消費しているのを検出することができます。
スクリプト内のどの時点でも追加することが可能な新しいProfile ノードが追加され、上流ノードのパフォーマンスデータをキャプチャーすることが出来ます。このデータは、CPU Time、Wall Time、オペレータの数、メモリー消費量を含みます。
また、新しいProfile タブが追加され、Profileノードの設定と実行ができるようになりました。一度プロファイリングが完了すると、キャプチャーされたデータはこのタブ内に表示されます。このデータをフィルタするためのいくつかのオプションがあり、データのインポートとエクスポートも可能です。
▼ソースクリップのプロパティパネル
Nuke Studioのプロジェクト内で、ソースクリップのプロパティが、Propertiesタブ内でReadノードに相当するパネルからアクセスできるようになりました。これまでは、ソースクリップのプロパティの変更にはMedia タブが使用されていましたが、既存のオプションと一つの場所に統合されることで、素早いアクセスとコントロール性を備え、NUKEとNUKE STUDIOで一貫したUIとワークフローを提供します。
タイムライン上のクリップをダブルクリックすることで、Readノードに相当するプロパティがPropertiesタブに表示されます。
補足:以下の画像は、NUKE STUDIO 11.0以前の、ファイルパス等を変更するためのMediaタブを表示した画像です。これまでは、Soft Effectsの調整はPropertiesタブ、ソースクリップの調整はMedia タブで操作を行っていましたが、NUKE STUDIO 11.1より、どちらもPropertiesタブでの操作が可能になりました。
これに加え、NUKE STUDIOプロジェクトのソースクリップで相対パスを使用することが出来るようになりました。プロジェクトのルートディレクトリは Project > Edit Settings > General で設定できます。プロジェクトのルートとは別に、エクスポート用のディレクトリは引き続きExportセクションにて設定することが可能です。
既存のソースクリップオプションが改善され、新しいオプションが追加されました。
- file : MediaタブのMedia Fileオプションを置き換え、エクスプレッションが使用できるようになりました。これにより、パスの中で環境変数などを使用することが出来ます。
- localization policy : それぞれのソースクリップで容易にローカライゼーションポリシーにアクセスが可能です。
- original range : ソースクリップのフレームレンジを調整します。以前は Open In > Timeline View によってのみアクセスが可能でした。「Rescan Clip Range」に素早くアクセスするために「rescan」ボタンが追加されました。
- missing frames : ファイルの読み込みエラーをどのように処理するかを設定します。「error」、「black」、「checkerboard」、「nearest frame」から選択します。
- colorspace:MediaタブのColour Spaceオプションを置き換え、カラースペースが見つからない場合のエラー処理を改善しました。
- OCIO:ソースクリップのOCIOコンテキストをサポートします。
- フォーマット独自のオプション:QuickTimeデコーダ、YCBCRマトリックス、ソースレンジ(video や full)等、フォーマット独自のオプションに容易にアクセスができます。
Nuke Studioのソースクリッププロパティのコントロールは、Create Comp ワークフローを使用して生成したNukeスクリプトに対しても適用されます。
これに加え、全てのソースクリッププロパティがPython APIからアクセス可能になり、スクリプトの実用性が向上し、Nuke Studioを既存のパイプラインに統合しやすくなりました。
すべての更新内容のリストにつきましては、リリースノート(英語/PDF)をご覧ください。
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