今年もいよいよ残りわずかとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は、先日リリースされた最新のMari 4.0で導入された新機能や改善について機能別にご紹介致します。リリース概要はこちらの記事をご覧ください。
今回のバージョン4.0v1のハイライトは以下のとおりです。
- プロジェクトのスタートアップ
- エクスポートマネージャ
- Palettesツールバー
- ツールのグループ化
- ノードグラフのAdvancedモード
- Texture Setsパレット
- UIの整理
- ドラッグ&ドロップの塗りつぶしメカニズム
- カラーとコントロールの精密度
- Groupレイヤーのワークフロー
- カーブエディタ
- Principled BRDF
- OpenSubdiv 3.1
- VFX Platform 2017
- 拡張されたSource Grade
- パレットの拡張
- バージョンごとのMariユーザープリファレンス
プロジェクトのスタートアップ (新機能)
新規プロジェクトのスタートアップダイアログを刷新し、新たな設定項目としてライティングも追加しました。チャンネルプリセットを使用すればシェーダーとチャンネルが接続された状態でアセットをロードしますので、ライティングが施された状態で直ぐにペイントを始めることができます。
エクスポートマネージャ(新機能)
チャンネルやBake Pointノードのバッチエクスポートを効率良く管理するためのExport Managerダイアログを新たに導入しました。同一ソースから異なる出力設定と管理が可能になり、加えてフォーマット変換まで可能になりました。
Palettesツールバー(新機能)
Mari 3.3では、Viewメニュー > Palettesまたはツールバーの右クリックからパレットにアクセスしていました。
Mari 4.0では新しいPalettesツールバーの採用により各パレットへのアクセスを大幅に刷新し、パレットへのアクセスが簡単で分かり易くなりました。
ツールのグループ化
ツールバーに多数のツールが積み重なっていると全てのアイコンが画面に収まらないことがありました。Mari 4.0では類似したツールをToolsバーの単一ボタンにグループ化しました。
Mari 3.3のToolsツールバー
Mari 4.0のToolsツールバー
Mari 4.0のツールカテゴリは以下のとおりです。
- Objectツール
- Paintingツール
- Image Paintingツール
- Paint Transformationツール
- Paint Bufferツール
ツールグループのボタンをクリックして長押しすると、ツールのメニューにアクセスできます。また、ツールグループのボタンをCtrlキーを押しながらクリックすることで、そのグループ内のツールを循環することができます。
ノードグラフのAdvancedモード
これまでデフォルトとして設定されていたノードグラフのBasicモードを取り除き、今回のバージョンからAdvancedモードを標準モードに設定にしました。加えて非商用版でも完全なノードグラフを使えるようにしました。
Mari 3.3のNode Propertiesパレットで単一ペインにスタック化されていたノードのプロパティは、Mari 4.0でより見やすくなるようタブ別で表示するようになりました。
Texture Setsパレット(新機能)
Mari 4.0ではTexture Setsパレットを新規導入し、Megascansアセットを閲覧、ロードすることが可能になりました。Megascansのイメージデータを効率よく取り込むことが可能です。
UIの整理(機能強化)
HUDをビューポート右下に配置することによりアセットの視認性を大幅に改良しました。コントロールパレットはアクセシビリティ向上のため統廃合を図り、ツールもグループ化することにより使い勝手を向上させました。ProjectionパレットはPaintingパレットに統合し、Brush Editorパレットは廃止しました。Mari 4.0でカスタムブラシを作成するにはTool Propertiesパレットでブラシを調整します。気に入ったブラシはツールバー上のブラシプレビューからシェルフにドラッグ&ドロップして簡単に保存できます。
ドラッグ&ドロップの塗りつぶしメカニズム(機能強化)
現在選択している範囲に対して、ドラッグ&ドロップ操作によるカラーの塗りつぶしができるように改良しました。塗りつぶしは全ての選択モード(オブジェクト、パッチ、フェイス)に対応しています。Marquee Selectツール使用時にはカラーをキャンバスにドラッグすることでペイントバッファ内の選択範囲を塗りつぶすことができます。
カラーとコントロールの精密度(機能強化)
Colorsパレットの広さをコントロール可能にすることでカラー選択の精度を向上させ、コンポーネントスライダは操作に合わせて各ポイントの最終的な色を表示するように改良しました。またNukeと同様のキーボードとマウスホイールの操作での数値入力を採用しコントロール性を高めました。
Groupレイヤーのワークフロー(機能強化)
LayersパレットではGroupレイヤーの作業がより直感的になりました。新しいGroupレイヤー作成時にレイヤーを予め選択しておくと、選択していたレイヤーが新規Groupレイヤー内に格納されグループ化が完成します。Groupレイヤーを選択した状態で新規レイヤーを作成すれば、新規レイヤーは選択中のGroupレイヤーの中に格納されます。
カーブエディタ
カーブアトリビュートは、Mariのプロパティパネルにグレースケールのグラディエントとして表示されるようにしました。別ウィンドウで開くカーブエディタのコントロール性は大幅に向上し、精密なコントロールを可能にしました。
Principled BRDF
Mari4.0ではWalt Disney Animation Studios社のBrent Burley氏による2012年の論文を基にした新たなBRDFシェーダーを搭載し、よりアーティストフレンドリーで直感的なシェーダーコントロールが可能です。
OpenSubdiv 3.1
スキーム選択、ジオメトリ、UV境界補間方法を含むOpenSubdiv3.1の最新機能を追加し、Mari4.0では最終レンダラーに近いメッシュ状態を保ちながら効率良いペイントを可能にしました。
VFX Platform 2017
全てのライブラリはVFX Reference Platform 2017を採用しバージョンアップされました。
拡張されたSource Grade
PaintingパレットのSource Gradeセクションを拡張し、新たにGrade調整レイヤーと同じコントロールを追加しました。
パレットの拡張
パレットの上にポインターを重ねた状態でスペースバーを押すことで、任意のパレットを拡大/縮小することができるようになりました。これにより単一パレットの視認性とアクセシビリティを向上させることができます。
バージョンごとのMariユーザープリファレンス
Mariのユーザープリファレンスファイルは、ファイルごとにアプリケーションのバージョンを埋め込んで保存するようにしました(例:Mari4.0v1.ini)。これによりUIレイアウトやプリファレンスを破損することなくMariのバージョンを切り替えることができます。
今年一年、本ブログをお読みいただきありがとうございました。
来年もインディゾーンをどうぞよろしくお願い致します。